written by VS?Collective(Z)

インドネシアではとうに雨季に入った12月、VS? Collectiveメンバーになって、ジャカルタで開催された「NO LIMIT 2018 JAKARTA」に行ってきた。

このイベントは2016年、高円寺「素人の乱」メンバーを中心として行われた「NO LIMIT 東京自治区」を発端としている。ライブや展示、上映、その他トークや様々なイベントをはじめとして、高円寺および新宿でのデモ行進まで含んだ大規模かつDIYなフェスティバルで、開催にあたり/開催をもって、東アジアの地下文化圏=オルタナティブな活動をする人々=(主催者松本哉のいうところの)「マヌケたち」を繋いできた。昨年は韓国で行われ、さらにその輪は東南アジアへもひろがり、今年はインドネシア、ジャカルタ&バリでの開催となった。

開催の模様やなんやら、主催者の松本哉さんのブログに書かれているので、ぜひご覧ください。

筆者はたまたま9月からインドネシアの別都市に滞在しており、高円寺一帯のことも、NO LIMITのことも、知人たちからふわっと聞いていたくらいである。そんな暢気な客の視点で、短いながらインドネシアのとある都市(インドネシアは地域差がむちゃくちゃあるのだが)にしばらく滞在している感覚も交えて、にょろにょろ脇道に逸れながら書き連ねてみる。お手柔らかに。

※なんだかエラーで画像が見られなくなっています。FBやInstagramでどうぞ。

DAY1)
西ジャワの高原都市バンドゥンから、陸路で4時間ほどかけて出てきたジャカルタは蒸し暑く、道路やビルやらいろいろでかい。その時点でちょっとぐったりする。

会場となる怪しげなビルの前には、「WHY」と書かれたバナーが貼ってあり、インドネシア人とみえる若者たちが群がっている。黒Tシャツ率が高い。こわっ。ビルは4?5?階建てで、2つのライブ会場、イベントスペース、DJフロアにも映画上映会場にもなるカフェバーが併設されている。入口と1階のイベントスペースにはフード屋台とともにZINEやレコード、Tシャツなどを売るブースが出ている。

タイムテーブル。上映やライブが同時多発で行われている。

余談だが、タイムテーブルが存在することにちょっと驚いた。だいたい遅れてたけど、30分~1時間はこちらでは誤差の範囲内だ。バンドゥンでなにか見に行くと、開始時間ぽいのに開場もしてないわ、タイムテーブルがアナウンスされないのはデフォルトだわ、というか日まで違うわ!ということがけっこうあって、スケジュールという概念そのものが別物のような感じがする。

じつは諸事情で出遅れてしまって、着いたころにはラストアクト的なところであった。DJ KOOみたいな人(韓国から来た「Yamagata Tweakster」)が叫びながら踊りまくっていて、現地客らしき人々もビデオを撮ったり、なんかウケている雰囲気。

アクト終了後も高円寺チームのDJタイムがつづく。
会場のカフェバー「MONDO by the LOOFTOP」のボス、シュンさんはなんと日本人。イスラム教が多数のインドネシアでは酒にありつきにくい。ジャカルタで飲めるところといえば、駐在の外国人や観光客向けの高級バーか地元民が行くクラブのようなところに二分されるそうだ。そのボーダーを超えるところを、ということでシュンさんは10年以上MONDOを運営しており、様々なイベントも行っている。今回のNO LIMIT JAKARTAはこのシュンさんと高円寺「S.U.B store Tokyo」の店長、そしてジャカルタの面々が中心となってオーガナイズされたそうである。
その場にいた人々に聞くと「こういう場所はジャカルタには他にない」とのこと。なんかたくさんありそうなのに!そうなのか・・・びっくり。

ジャカルタで聞くTUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」はエモかった。

ホテルまでの帰り道、屋台のナシゴレンを歩道で食べる面々。マヌケにも自分のホテルに入れない事件が勃発して、このあとみなさんの宿にお世話になる。ひとり(2回ドブに落ちた)友人がいたとはいえ、メンバーズのこの寛容さはインドネシア人みたいだ。この人たち、高円寺はのぞくとインドネシアのほうが生きやすいんじゃないか?AY2)

朝に無事ホテル、と思ったらインドネシアによくある「コス」と呼ばれるシェアハウスだった、に入ると、住民がお茶と果物とかくれる。インドネシアあるある。電話番号をすぐ聞かれるのもあるある。そのおじさんからその後、けっこうな頻度でムスリム式の「よい一日を!」みたいなメッセージが来て、どう返信したらいいか微妙にわからないまま毎回適当に返している。

さて、イベント2日目はいくつかの上映とライブを見る。

インドネシアの女性インディーバンドシーンを扱った映画「INI SCENE KAMI JUGA!(シーンは私たちのものでもある、みたいなインドネシア語)」 。イスラム色の強いこの国での活動は複雑な困難さを想像でき、面白そうではあったが、英語字幕が小さくて読めず、途中でギブアップ。

ライブ。イベントの出演者のほとんどはインドネシアのバンドで、出演・出展者の友人たちが観客層だったようだ。他ジャンルもあったみたいで見逃してるっぽいが、パンクやメタルが多かった印象。やはり黒Tシャツが多い。こっちの人たちは「なんでもオッケー」耐性が強く、そこまで排除感はない。

物販ブースのうち、私と同じくバンドンから来たパブリッシャー。友人のバンドが出るから来たとのこと。最近バンドンでもZINEイベントがあったらしい。ちょっと喋れるようになったインドネシア語で話すと、ちょう気さく。英語で喋っても気さくだが、日本人ほどではないとはいえ英語能力は個人差が大きい。そもそもが地方ごとのローカル言語と共通語のインドネシア語を操ってるので、言語習得力は高いはず。しかし日本の人口2倍超の大国ではドメスティックにことがすむので、英語を使う機会がない人には必要ないのである。

↓イベントのインスタグラムポスト。インドネシアは完全にインスタ文化。“Gado Gado”は「ごちゃ混ぜ」という意味で、温野菜にピーナッツソースをかけた料理もありますね。

「素人の乱」、「NO LIMIT 東京自治区」の映画上映。
ウェブで活動をちらっと見ただけの私にとって、このイベント内でいちばん良かったのがこの映画であったのだが、観客にちょっと現地の人が少げに見えた。「WHY FESTIVAL」というジャカルタオリジナルのイベント名が前面に出ていたことにより、(もともとの関係者は除いた)現地客にとっては、この映画上映とイベントそのものの関連性を見出すことも難しかったように思える。すごい刺さってた客もいるようで、量より質とは思うけど、ちょっともったいない感じ。

東京のNO LIMITフェスティバルでは箱の中のイベントに終始するのでなく、デモなど(路上飲みもその一端だ)により、街にアクションを仕掛けていくところがミソであろう。音楽という否応なしに耳に入ってくる武器によって、そこに居合わせた人々を偶発的に巻き込んでいく光景を見て、「ゆるテロ」という言葉が湧いて出た。

デモ警備に限らずだけでなくやたらと出てくる警察によって、管理区域がトゥーマッチに分断された日本の異常さも炙り出されていた。これは「日本はルールがあるが、インドネシアにはない」と言い切るインドネシア人にとっては、新鮮に映ったのではないか。こちらにいると、(グラブのドライバーとかに)「日本人はdisciplineがあって素晴らしい、こっちにはないから」みたいなことをよく言われるが、ありすぎでいかがかと思いますよ。

私が居合わせたジャカルタの催しにおいては、(Yamagata Tweaksterが「路上の自由を!」と夜中のジャカルタの道路に飛び出して車を止めた以外は)そのゆるテロ性を表立って感じることはなかった。

それでも、とくにスポンサーがいるわけでもなくDIYでインドネシアでイベントが実行されたのは素直に驚く。メンバーたちはジャカルタの街に異様に順応してみえ、なぜか言語の壁を越えて通じ合っているようだった。イベントそのものに加えたこの移動体がNO LIMITの本体なのであろう。

最早いつなんどき自分の国に住める事態じゃなくなってもおかしくないような世の中で、このひとたちはアジア中の仲間たちのところで/とともに、サバイブし続けるんだろうと、たのもしくうらやましく考えた。

///さらに余談:酒探しの旅

酒類の販売店は酒が飲める飲食店よりもさらに見つけづらい。近年イスラムの勢力が拡大していて、売っていると暴動で店を壊されることがあるとかで、コンビニでは2年前くらいから酒類がなくなってしまったらしい。スーパーにもあるところは稀だ。

今回の会場近くのロッテマートでは(韓国資本だからか?)販売されていたが、閉店後の深夜にもお酒を求めるメンバーたちを見て、地元からの参加者が車を出してくれた。売っている店があるらしい。が、朝4時ごろのアザーン(*)とともに販売禁止となる。いま3時半だよ!ということで、やたらとばす。地元民のクラブの前で聞き込みし、彼はバイクに乗り換えどこかへ消え、謎の待ち時間を過ごす。クラブからの持ち出しは断じてできない。許可系統が違うという。だいたいのことがゆるいが、酒についてはわりと厳しい。結局手に入らず帰ったが、無駄にスリリングな旅でよかった。(ビデオインスタにあげたんで観たかったらどうぞ)
酒飲みは(表立っては)少ないが、タバコはすごい吸う。バイクの運転中でも、乗合バスの運転手も客も吸う。

*アザーン・・・1日に5回、イスラム教の信徒に対して礼拝の時刻を告げる呼び声。イスラム教徒が9割ほどのインドネシアでは、街のいたるところにあるスピーカーから大音量で流れる。

リンク
NO LIMIT 2018 JAKARTA & BALI | https://no-limit-world.jimdofree.com/
NO LIMIT 東京自治区|http://nolimit.tokyonantoka.xyz/
松本哉ブログ|https://matsumoto-hajime.com/blog/
VS?Collective instagram| https://www.instagram.com/vsvscollective/